Q.解散した経過措置型医療法人に財産が残ったら、出資者に分配されるのでしょうか?

 

A.解散した経過措置型医療法人の残余財産は、払込済出資額に応じた分配がなされます(ただし、出資額限度法人に関しては、払込済出資額を限度とした分配がなされます)。

1.医療法人の譲渡
多数の患者さんが通院する診療所であっても、後継者が不在であることから診療所を閉め、医療法人を解散しようかと悩んでいるという事例が意外に多く見受けられます。このような事例において、もし医療法人を売却できるのなら、解散や清算手続きを行わなくても済みます。
経過措置型医療法人の持分の売却により、法人財産に該当するカルテ、医療機器といった全ての資産負債の譲渡ができます。値段は、医療機器等の資産から未払金等の負債を控除した純資産だけでなく、通常は診療所の収益力も考慮されますから、医療法人が有している「暖簾(診療所の営業権)」も役立つでしょうし、新たに開業する人も開業して間もない頃の収入不足に悩む必要もなくなることから、法人の持分の売却はどちらにとっても有益です。
法人の持分である非上場の株式等を売却した際、売却価格から出資額(又は購入価格)を控除した金額を、譲渡所得として申告します。この際の譲渡所得の課税方式は、他の所得と分離して税額を算出する申告分離課税であり、所得税と住民税を合わせた税率は20%です。
また、法人の売却時には役員も交代することになりますので、事前に退職金を受領しておくのもいいでしょう。それは、退職金を支給すると売却価格は下がることになるものの、退職所得は分離課税であり、税務面で有利な設定となっているためです。

2.医療法人の解散
社団たる医療法人は、次の事由によって解散するとされています。
(1)定款をもって定めた解散事由の発生
(2)社員総会の決議
(3)目的たる業務の成功の不能
(4)社員の欠亡
(5)他の医療法人との合併
(6)破産手続き開始の決定
(7)設立認可の取り消し
ただ、上記(2)又は(3)に掲げる事由による解散に関しては、都道府県知事の認可を受けない限り、その効力が生じません。
したがって、上記1で述べた後継者不在による解散の場合は、知事の認可を受け、医療法人の清算手続きを行うことになります。すなわち、経過措置型医療法人であれば、財産を一つ一つ又は一括して売却し、未払金といった負債は返済をして、残額は払込済出資額に応じた分配を各出資者に対して行います(ただ、出資額限度法人については、払込済出資額を限度とした分配を行います)。
法人の解散で残余財産を分配された出資者は、交付された金銭が法人の資本金等の額を上回るのであれば、その差額を配当所得として申告することが必要となります。この際の所得税と住民税については、配当所得を他の所得と合わせて計算します。配当所得と退職所得(分離課税)を比較すると、一般的には退職所得の方が有利といえるため、先に役員退職金の支給を受け、退職所得として申告をすることも考慮に入れるといいと思われます。
なお、平成19年4月以降に設立された医療法人は、非営利性を徹底させる観点によって、解散時の残余財産の分配ができないことになっています。医療法人の非営利性を否定する行為に当たる、収益が生じた法人を利益の分配を目的に意図的に解散させるという行為を排除するために、解散時の残余財産は国や地方公共団体又は他の医療法人等に帰属させることになったのです。それゆえ、後継者が決定していない医療法人の場合、設備投資や資産運営等に関してはじっくりと考える必要があります。

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